春はすぐそこ。
痛いであろう、足首を少し押した、
「いっ…!なにすんのよ、」
「いてぇんじゃねぇか。こら。さっきも嘘つきやがって。」
「歩けるんだし、私のことだから、あんたに関係ないでしょ?」
こいつはお礼の一言も言えねぇのか。
どんな教育受けてんだ。
「はいはい、俺がお節介だったな。悪かったよ。」
そもそもなんであそこでぼーっと突っ立ってたんだよ。
「俺は戻るから、後でこいよ。」
「うん、」
一応湿布だけは貼ってやったし、大丈夫だろう。
ふっと、牧野を見るといつもの虚ろな表情をしている。
「…やっぱ、」
「…なに?」
「戻るのめんどくせぇから帰るわ。」
「は?」
「こい。」
「え、なに、きゃあ!!」
悲鳴の原因はおれが担いだから。