春はすぐそこ。

「おろして!」

「どうせ歩けねぇだろ。あと静かにしろ。他の先生に見つかるぞ。」

「あんたが下ろせば騒がないわよ!」

めずらしく騒いでいる。

「お前軽すぎだな。飯いくぞ。腹減った。」

「勝手なこといわないで。」

「いいから着替えてこい。」

更衣室のドアをしめた。


程なくして、ひょこひょこ歩きながら牧野が出てきた。

「着替え置いてお前のカバン持ってくるから裏門向かってろ。」

面倒だから何も言わせないうちに行動に出る。

さすが牧野。
荷物がしっかりまとまってる。

念のため机の中をのぞいた。

「ん?」

二冊、入っている。

よくわからないが、花の本だった。
図書館のシールが貼ってある。

あいつ、こんなの読むぐらいには花が好きなんだな。

ペラペラとめくっていると、ハガキサイズの写真が落ちた。
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