春はすぐそこ。

「悪いな。待たせた。」

「別にいいけど。荷物ありがと。」

「バス乗るぞ。あと少しで来る。」

「そっち逆方面だから私行かない。」


歩けないくせに校舎の方角へ向かおうとする

「待てよ腹減ってんだろ?」

「お昼持ってるから食べに行かない。放課後予定もあるから帰れない。」

「真面目かよ。」

「真面目とかじゃなくて。行く気ないから。じゃあね。」

冷たい目をしていた
まるで俺のことなんてまったく視界に入っていないような、そんな表情だった


なんで俺はあんな女がいいんだろうか


一人で昼食を食べている時にふと思ってしまった

少し違う雰囲気に惹かれただけだろう

結局同級生だし、同じガキだな、


なんて、思っていた
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