春はすぐそこ。

無言で前を俺が、後ろを牧野で並んで歩く

今牧野が何を思っているのか、この時はそれしか考えていなかった


帰宅ラッシュも重なり、駅にはなかなかの人の多さだった


「じゃあね、カバンありがとう。」

カバンを受け取ってから、改札に入り人の波に消えるまで早かった


俺と目すら合わせない

今日何もなかったような雰囲気で牧野は帰って行った

ますます惹かれた

何になんて、理由はない

どうしても牧野に近づきたかった


これが、牧野と俺が只名前を知っている人から、クラスメイトになった瞬間だった
< 58 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop