春はすぐそこ。
無言で前を俺が、後ろを牧野で並んで歩く
今牧野が何を思っているのか、この時はそれしか考えていなかった
帰宅ラッシュも重なり、駅にはなかなかの人の多さだった
「じゃあね、カバンありがとう。」
カバンを受け取ってから、改札に入り人の波に消えるまで早かった
俺と目すら合わせない
今日何もなかったような雰囲気で牧野は帰って行った
ますます惹かれた
何になんて、理由はない
どうしても牧野に近づきたかった
これが、牧野と俺が只名前を知っている人から、クラスメイトになった瞬間だった