春はすぐそこ。
そろそろ夏休みの宿題とやらを進めなければいけない。
そのためには早く帰らなければ。
「お前、今日家に一人か?」
「なんで?」
「どうせお前のことだから早く帰って宿題やるんだろ?」
なんで分かった。
「お前んちの親夜勤でいないんならまた泊まり来いよ。お袋がまた会いたがってるから。」
古川のお母さん。
せっかくアルバイトを紹介してもらったのだから流石に挨拶に行かないと、とは思う。
「わかった。」
「珍しく素直だな。」
「泊まらないけど。今日じゃなくて別の日が都合いいんだけど。」
「じゃあ今日は飯だけでも付き合えよ。」
「…。うん」
なんとなく、嫌ではなかった。
素直に返事をする。