春はすぐそこ。
「なんですか?」
「これ、どう思う?」
一枚のイラストを見せられる
「…花束?ですか?」
「そう、ブーケって言うんだけど、知り合いに結婚式で使いたいからデザイン頼まれてね、なんかしっくりこないのよ。この形あんまり得意じゃなくて。」
「…素敵だと思いますけど…。」
たしかに、何か寂しいイラストだった。
色が少し足りないというか、メリハリがないというか。
「花ちゃん、今何考えてる?素直に言っていいのよ?」
「…もう少し、色のついたお花か、大きいお花を入れてもいいんじゃないかなと…」
「色か大きさね…わかった。ありがとう!完成したらまた見せるわね。」
オーナーは新しい紙を取り出してまたイラストに集中し始めた