春はすぐそこ。
気を取り直して古川の元まで向かったのだが、
「いない…」
また誰か懐かしい人とでもあったのだろうか
近くをうろついてみる、
「由紀ちゃんこそ、変わってないね、」
そんな言葉が聞こえてきた
少し高めの女の子らしい声
「いつ帰ってきたんだ?」
「最近だよ、ずっと会いたかったんだよ。」
女の子はそう言って古川に抱きついた
アルバムにいたあの子に間違いない
メガネとおさげはしていないものの、あの身長と笑い方は間違えない
先ほどと同じモヤモヤが黒く、重く、広がる
黙ってその場を後にするしかなかった