Lion Heart
明日の練習メニューを考えつつ、
今日も怪我なしで終わって
ホッとしながら、
ドアの前で鍵を取り出す。
「この荷物どこにおいたらいいですか?」
見知らぬ声が廊下に響く。
声のする方向へ目をやると、
引っ越し作業員が
荷物を部屋に入れている。
「すみません、今行きます」
後ろから聞こえてきた男の人の声。
私の前を通り過ぎたとき、
心に火が小さく灯ったように感じた。
彼の姿を見ようと振り向くと、
後ろ姿だけが見えただけで、
すぐに部屋へと吸い込まれて行った。