この結婚断固反対です‼︎
8時間前


『紗香、約束覚えてるわよね?』
『なに?おばあちゃん?』

土曜日の昼下がりに急におばあちゃんの部屋へ呼び出された私は頭をひねった。
東京郊外にある静かな住宅街にあるこの家は風がよく通り気持ちがいい。
おばあちゃんの部屋は庭に面していて縁側もある。
そこに私は座ると、優雅に庭を眺めた。

『あなたが5歳の時に、約束したじゃない。23歳になったら結婚するって』

え?なんて言った?今なんて?自分の耳を疑うがどうやら冗談でもなさそうなおばあちゃんを見つめた。
余りにも驚いて声がでないそんな私に構うことなくおばあちゃんはニコニコしながら続けた。

『もう、相手のご家族とはお話してとりあえず、一緒に住まわせてみようって事になっているから、早く荷物まとめなさいよ。お父さんとお母さんも喜んでいるわよ。』

おばあちゃんは当たり前のように言うとまたテレビに夢中になっていた。

私の結婚ってこんな簡単に決められて、こんなテレビのCMの間に告げられるようなことなの??そんな疑問も言葉にならず呆然としていた。

昼下がりの気持ちのいい風だななんて、お花畑の中にいた私の頭は一気に急流すべりでも滑ったかのように凍り付いた。
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