この結婚断固反対です‼︎
柏木紗香 23歳 大手国内自動車メーカーに入社して2年目。広報担当。

たしかに取り柄も特にないし、いたって平凡な人間だと思う。
身長も普通の160㎝、髪は少しお洒落を意識して、仕事に支障がない程度の茶色のカラーリングのゆるふわヘア。顔立ちもう中の上?

恋愛は就職を気に大学生のころから付き合っていた、1つ年上の彼氏と3年の交際にピリオドを打って以来彼氏はいない。

家柄も公務員の父に、専業主婦の母、そして父方の祖母。ごく一般的な普通の家庭だ。

なのに、なんでそんな約束をしてるの?私の頭はフル回転で今の状況と、何十年前のその約束を思い出そうと試みるが、まったく無理だった。

少し冷静になってなった私はおばあちゃんに詰め寄った。

『おばあちゃん!ちょっと待って』
『何?』
『全く話が分からないんだけど、私が結婚するの?誰と?』
おばあちゃんは唖然として、『覚えてないの?』と声を上げた。

『5歳の約束覚えてる方がおかしいでしょう?』
泣きそうになりながら訴える私を見て、
『それもそうね……。でもおばあちゃんあの人と約束したのよ』
『あの人ってだれよ!』

私の強い語気など気にする様子もない、おばあちゃんは少し照れた表情をした。
なんで照れているの?
『それは・・・おばあちゃんの初恋の人よ。その人が亡くなる前に約束したのよ』

え…なに?その漫画の様展開に私は口を閉口した。

自分たちの叶わなかった恋を孫に…とかそんな陳腐なドラマみたいな話……。

嘘でしょ?と軽くめまいがした。
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