風に吹かれた奇跡
「はぁ。もうこんな時間かよ。」
やっと愛美から解放された。

早く帰りたかったから、本当は今日したくなんてなかったのに、しつこく迫ってくるから結局した。

「ただいま。」
誰もいない家に言う。

父さんは俺が小学2年生のときに出ていった。母さんは父さんがいなくなったショックで中学1年生のときに俺を捨てて出ていった。

中学3年までは母さんのほうのばあちゃんに面倒見てもらっていたけど、高校生からマンションで一人暮らしを始めた。もうばあちゃんも結構な歳だし、毎日ご飯とか洗濯とか大変だと思うから。

まぁ、俺が一人暮らししたかったっていうのもあるんだけど。
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