風に吹かれた奇跡
病室を出て1階に降りる途中、喉が渇いたから自動販売機によった。

自動販売機に近づくと前に並んでいた同い年くらいの子が小銭を落とした。

その子は足を怪我しているのか、松葉づえをついていた。だから、すごく小銭を拾いにくそうにしている。

「はい。」
すぐに小銭を拾って渡した。

「あ、ありがとうございます。私、足がこんなんだから拾えなくて困ってたんです。あ、お礼に奢りますよ。」

「大丈夫ですよ!小銭を拾っただけで奢ってもらうなんて。」

「いいですよ!何飲む?オレンジジュースでいい?」

「本当に大丈夫です!」っていう前にもう自動販売機のボタンは押されていて断る暇はなかった。

その子はオレンジジュースとコーラのペットボトルをもって椅子に座り、手招きをしてわたしを呼んだ。
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