風に吹かれた奇跡
「えっ、あんた個室なの?」
部屋について一番最初に発せられた言葉。
「うん。」
「もしかしてお金持ち?」
「いや、入院してるの長いから先生が個室にしてくれた。」
「へぇ。」
そう言って津川さんは私のベッドに座った。
「津川さんは...」
「杏里。」
「え?」
「杏里って呼んで。」
「呼び捨て?」
「そう。」
「え...でも...。」
「もう!じゃあ、なんでもいいから津川さんはやめて!」
「えっと...じゃあ杏ちゃん!」
「杏ちゃんか...。ぎりぎり許す!」
そう言って満面の笑みを浮かべた。
「私は美羽って呼ぶから。」