風に吹かれた奇跡
俺には彼女も好きな女もいない。
この先好きな女ができるのかもわからない。

そんな俺がどうやって敦みたいに惚気んだよ。


「最近、美羽美羽ってそればっかじゃん。」

「美羽のこと言ってんの?」

「うん。」
思わず笑いそうになる。だって美羽とは手紙だけでしか繋がっていないし。

「何笑ってんの?」

「いや、別に。お前と違って俺は惚気てないから。」

「いや、美羽ちゃんの話ばっかりじゃん。美羽に杏ちゃんっていう友達ができたとかそんなんばっか。何も知らない人が聞いたら大樹の彼女なんだなって思うよ。」

「そんなに?」

「そんなに。」
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