風に吹かれた奇跡
バスケなんて中学のときにやめた。あの時は俺にとってバスケは道具でしかなかった。

……忘れるための。やめた理由はもう必要なかったから。それだけ。

──ピロリン、ピロリン

ホーム画のポケットに入ってるスマホから電話の着信音が聞こえた。

画面を見るとばあちゃんからだった。

『もしもし。どうした?』

『あ、大くん。蛍光灯変えたいんだけどねぇ。うちに来て変えてくれないかな。』

『あぁ。いいよ。1回家帰ってから行くわ。』

『ありがとね。』

電話を切って少し早歩きをして家に向かった。
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