風に吹かれた奇跡
「…大樹。」

母さんに呼ばれた自分の名前を聞くと寒気がした。

「大くんごめんね。」

いや、ばあちゃんは悪くない。娘と孫を仲直りさせたいだろうし。

「大樹、あの時はごめん。」

ごめん?そんな簡単に謝って済むことか?

「また、一緒に暮らせない?」

「ばあちゃん。ごめん。帰るわ。」

母さんの言葉を無視して家から出ようとした。

「待って大樹!」
母さんに肩をつかまれた。いや、触られた。程度だった。

「さわんな!!」

母さんの手をおもいっきりはたいて出ていった。
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