ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。
「大河ちゃーん」


そんな中、本山くんの明るさに私は救われた。


「なんだよ、悟」

「もう俺ヘトヘトなの。帰りおぶって?」

「アホ」


冷たく本山くんをあしらう大河だけど、彼のカバンを持つから驚いた。


「お前、ちゃんと病院行ってこいよ?」

「えっ、病院?」


なんのこと?
私が声をあげると、本山くんは観念したかのように口を開く。


「なんだよ、わかってたのか。さっき足をひねっちゃって。たいしたことないから、波多野は気にしなくていいよ」

「気になるのが波多野なんだよ!」


大河がちょっと怒り気味に言ったとき、なぜだか胸がドクンと跳ねた。


「そっか。優しいもんな。それじゃ、看病して……」

「たいしたことないって言ったよな」


大河が鋭い目で本山くんをにらむ。


「あー、わかったよ。調子こいてすみませんでした」


本山くんがしおらしく謝ると、大河は「行くぞ」と歩き出す。
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