ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。
それから大河はそれを口にすることはなかったものの、泥だらけになり倒れるまで必死に練習に励む彼を見ていると、あれは本気だったのだという確信を持てるようになっていった。


だから、大河は必ず甲子園に行く。



周りの誰も——監督でさえ——旭日高校が甲子園に乗り込む姿を想像していない。

でも、私は信じてる。
絶対に、行く。


大河のBチームはまずは打撃から。
大河は八番。

一回の表は三人で打ち取られて終了してしまった。


そしていよいよ守備だ。

マウンドに立つ大河は堂々としたもので、本山くんのように緊張はしていない。

それもこれもリトルリーグでたくさんの試合をこなしてきた経験があるからだろう。


本山くんのサインにうなずいた彼は、第一球を投げる。

腕をしならせ、長身を生かして振り下ろす投球フォームは、素人の私が見ても美しいと感じる。


「おぉっ」


私の隣で見ている監督が思わず声を上げる。
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