ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。
甲子園に行くには、隣の桜花高校のような強豪チームに勝たなければならない。

桜花高校のレギュラーなら、旭日高校に来れば即四番バッターだ。


それから大河は九回までひとりで投げ切り、初めての登板で無失点に抑えるという快挙を成し遂げた。

おまけに打撃でも一ヒット、一ホームランという大物ぶり。

試合は大河の活躍で、一対〇でBチームの勝利に終わった。


「霧島、お前旭日でいいのか?」


三年の先輩が大河の活躍を見て冗談交じりに話しかけている。

桜花のような強豪校に行かなくていいのか?ということだろう。


「もちろんです。俺はここで甲子園を目指します」


きっぱりと言い切った大河は、私に一瞬視線を送った。

それが『約束、忘れてないぞ』と言われた気がして、勝手に舞い上がった。


大河は必ず甲子園のマウンドに立つ。
私はそれを信じるだけ。


改めてそう思いながら、使った道具を片付け始めた。
< 26 / 152 >

この作品をシェア

pagetop