ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。
大河もそれ以上は強く言えず、なんとなくよどんだ空気のままミーティングは終わった。


「綾子先輩、いつもこうなんですか?」


そのあと、飲み物の準備をしながら先輩マネージャーに尋ねた。


「そうだね。去年もこんな感じだったかな。ほら、うちは特に近所に桜花があるじゃない? 設備のよさとかスポーツ科の優遇とか、間近で見えちゃうでしょ? そうするとやる気もなくなっちゃうみたいなのよね。皆、好きで野球やってるのに残念だけど」


先輩の言う通り、ここにいる皆は野球が大好きなんだと思う。

大河のように小さい頃からやっていた部員もいるし、高校で初めてという部員もいる。

でも、毎日朝早くから練習をして、夕方帰る頃には土埃だらけになる生活は、好きでなければ続かない。

しかし、現実が見えすぎていて、希望が持てないんだろう。


「たしかに桜花はすごいですね。今年また、有望な選手が入ったと聞きましたけど……」
< 33 / 152 >

この作品をシェア

pagetop