ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。
紅白戦のあとから、大河と本山くんは一年生の練習から外れ、投球練習をさせてもらえるようになった。


それは監督からも即戦力として期待されているのだと思ったけれど……現実は甘くはない。

試合の三日前に、一回戦の先発メンバーが発表されたものの、大河は入っていなかった。


かろうじてベンチに入れる十八人の中に名前があったが、バッテリーを組むはずの本山くんの名前はない。

ということは……積極的に大河に投げさせるつもりはないということかもしれない。


だって、大河は先輩のキャッチャー相手に投げたことが一度もなかったからだ。
バッテリーは息が合わなくては厳しい。


その日の帰り、いつものように一年生の部員とワイワイしゃべりながら駅まで歩く大河のあとをこっそりついていく。

メンバー表を見て落胆しているのかと思いきや、意外と元気なのに驚いていた。
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