ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。
「お前さぁ、波多野放っておいて、いいの?」

「別にいいよ。家が隣だから一緒に来てるだけなんだから」


その冷たい言葉を聞き『ノート返しなさいよ』と言いそうになったけれど、ぐっとこらえた。
多分、照れ隠しだからだ。

とはいえ、ムカつくことには変わりない。

私はマネージャーだけど、日常のお世話係じゃないんだからね!


仕方なく大河と本山くんが楽しそうに話しつつ学校に向かう姿を見ながら、あとからついていった。

駅から学校までの徒歩十分は、他の学校の生徒も入り乱れるので、朝早いとはいえすごい人。



この辺りは学校が多く、小学校も中学校もあるし、旭日高校の他に私立の高校もある。

しかもその私立桜花(おうか)高校は、野球の名門校で知られている。

数多くのプロ野球選手を輩出していて、全国からトップレベルの選手たちを集めてある。


勉強のほうも、“スポーツ科”なる学科があり、赤点が普通科より二十点ほど低く設定されているのだとか。
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