彼女が消えるその瞬間まで
今は3時間目、古典の授業だ。



俺の席は窓際の1番後ろなんだが、はっきり言って担当の先生の話が聞き取りにくい。


それは先生の声が小さいとか、周りがうるさいとかそんなのではない。




聾者である俺の耳が、前よりも聞こえにくくなったのだ。



産まれたときからずっと持っているこの病気は、医師からも言われた通り、年々酷くなっているらしい。



大人になれば、耳が全く機能しないことの方が可能性が高いらしい。




母さんや父さんは何とかして、それだけは回避したいと手立てを探している。












が、治す手立てはない。


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