彼女が消えるその瞬間まで
彼が何かを言って、拳を振り上げた瞬間、屋上の扉が開いた。











そこに立っていたのは、俺たちの話の話題の彼女だった。







「何やってるの?」



姫百合は何か言っているようだが、あまり訊こえない。



彼女が俺たちに近づいてくる。



「姫百合…どうして……」



今度は彼の口が開いた。口の形で、少しは理解出来た。




「翼くん捜してて……っ、どうしたの翼くん!ひどいケガ!」




彼女がポケットからハンカチを取り出して、俺の血を拭ってくれた。




「誰にやられたの、こんなひどいこと」


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