彼女が消えるその瞬間まで
家の中に入ると、部屋はきっちりと整理整頓されていた。



俺の部屋を覗いても、キレイに、あの頃と何も変わらない姿で残っていた。


母さんが掃除をしておいてくれたのか。さすがは、自治会の副会長だ。




***



それからは、家族でパーティを開いた。ご飯は、母さんの手作りのカレーライスだった。美味かった。



それから、父さんが酔って小躍りをしたり、母さんが珍しく俺のテレビゲームにハマってどんちゃん騒ぎだった。




「翼」


「なに?」



さっきまでゲームで爆笑していた母さんが珍しく真剣な表情をしていた。



「高校生活、楽しんでくるのよ」



「わかった」



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