彼女が消えるその瞬間まで
……………ふぅー。スッキリした。



俺はトイレを済ませ、手を洗い、階段へ上がろうとしていた。



「あら、姫百合の友達かい?」



後ろを勢いよく振り向くと、そこに立っていたのはいかにも姫百合の母親って感じの人だった。




「おじゃましてます。姫百合…さんと仲良くさせてもらっています。如月 翼と申します」



「翼くんだね。あんまり堅苦しい感じにしないで。いつもうちの娘をありがとうね」



姫百合のお母さんは笑っていた。その顔は、姫百合が笑った顔にそっくりだった。




俺がこの後何をすればいいか迷っていたら、姫百合のお母さんは口を開いた。




「どうだい?ひとつ、私と話をしないかい」




少しは戸惑ったが、俺は戸惑い混じりに頷いた。


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