彼女が消えるその瞬間まで
「人を惹きつける。……すごいか。実は私もそう思うんだよ」



「どうしてですか?」



彼女がクスクスと笑った。若くてキレイで元気な人だな。




「姫百合はね、小さい頃からずっとキラキラ輝きたいと言ってたんだよ。

困っている人を導ける、太陽のような人になりたいとね。




姫百合って変わった名前だろう?どういう由来か分かるかい?」



さっき姫百合がこのことを話していた。これについての答えは、即答できた。



「ヒメユリの花言葉は“誇り”俺の推測でしかないけど、きっと彼女にはその花のヒメユリのように、誇り高く、可憐に育ってほしかった」



俺が言い終えると、姫百合の母さんは黙ってしまった。




部屋が静寂に包まれる。時計の針が動く音だけが響く。





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