彼女が消えるその瞬間まで
学校に行く道、朝のだるさのせいか、鉛のように足が重い。



どうしても、俯いて歩いてしまう。



学校に行くのがめんどくさい。今日はこのままサボりたいぐらいだ。



まぁ、でも、行かなければ成績には響いてしまう。



「「はぁ」」



……今、誰かとため息のタイミングがシンクロした。



顔を上げると、そこには見知った顔があった。







「翼くん!?」



びっくりして、彼女は尻もちを付きそうなっていた。それは大袈裟すぎるのだが。



姫百合がため息をつくなんてめずらしいと思う。




いつも元気いっぱいの彼女にも、思わずため息をついてしまう悩みがあるのか。




そう考えると、姫百合も姫百合なんだな。


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