彼女が消えるその瞬間まで
「翼くん、そろそろ帰ろう。たぶん帰ってからと明日の学校は説教だと思うから」



彼女はクスクス笑いながら、俺の前を歩いていった。



さっきの会話はまるでなかったかのように。





いつか、必ず彼女の最期は俺より先に訪れるだろう。


それは下手したら今年かもしれないし、1ヶ月後かもしれない。




俺は、あと何回彼女と会話を出来るのだろう。



あと何回彼女の笑顔が見れるのだろう。





「翼くーん!」



前から、姫百合の声が響く。俺も歩を進めた。




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