彼女が消えるその瞬間まで
「あ、いたいたー!翼くん」



俺たちがアイスを食べ終わった頃、姫百合は髪の毛を揺らして、俺の元へ向かってきた。



「授業おつかれー。今度付き合ってほしい場所あるんだけどー」



「はぁー、また?」



「えぇ、嫌なのー?」



「無理っていっても強制的に連れていくだろう」



「にひひ、よく分かったね!じゃあ帰ったらメールするよ」




最近俺は思う。姫百合は人使いが荒い。それもものすごく。



こいつは俺をなんだと思ってるんだ。



俺は彼女に引きつった笑みを見せながら、心の中で愚痴っていた。

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