直感的結婚～恋はこれから～
出逢う
その時、私は途方に暮れていた。

ベンチに座って、ぼんやりと人の流れを見ていた。右に左と人はいろんな方向に歩いていく。ただぼんやりと眺めているだけだから、どんな顔の人が歩いているのか認識はしていない。

「この時間にこの人を見ませんでしたか？」と刑事とかに写真を見せられたとしたら、「分かりません」としか言えない程度。

だけど、ぼんやりしている私の目に一人の人が認識された。

なぜその人かというと、目立つ人だったから。

オーラが周りと違っていた。まず背が高い。180センチを超えていると思われ、他の人よりも頭がぴょこと飛び出していた。

それとスラッとしている。こういう人をモデル体型というのだろう。

そして、顔が整い過ぎている。二重のキリッとして目に、筋の通った鼻と厚くも薄くもない程よい形の唇。俳優だと言われたら、だからなのか！と頷ける顔立ちだ。

でも、あんなに堂々と顔をさらけだして歩く俳優はいない。一般人なのかな。

私がスカウトマンだったら、間違いなく声を掛ける。「モデルやってみませんか？」と。
< 1 / 159 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop