直感的結婚~恋はこれから~
私は首を傾げた。まずアイコンタクトをした覚えがない。目と目で、会話なんてした?

目で会話できるほど通じあっているとは思えない。

確かに時々視線が交わっている時はあった。スマートに指示をして、動く泰士さんを私が目で追っていたから、その視線に気づいたのか彼もこちらを時おり見ていた。

自分が見ていたことを気付かれて恥ずかしくはなったけど、視線が交わると彼は優しく微笑んでくれたから私も微笑み返した。

それをたまたま見て、アイコンタクトだと思ったのだろうか?

とんでもない誤解だ。

訂正しなければと半歩前に出ようとしたが、先に泰士さんが答えた。


「まさかそんなことで気付かれるなんてお恥ずかしいです。でも、夫婦はお互いをちゃんと見ることが大事だと思います。見て、話して、通じ合うことで信頼しあえる関係になり、より良い夫婦になれるのではないかと。私たちもまだまだこれからですが、お互い誰もが羨むくらいの良い夫婦になりたいですね」


『良い夫婦になりたい』と言った泰士さんの言葉が夫婦の日の話で思い出された。私も同じように良い夫婦になれたらいいなと思うから。
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