直感的結婚~恋はこれから~
瞬時に今の状況と今後のことを考える。迷っている時間はない。迷っていたら、何も手に入れられない。ならば!

決心したというか、覚悟を決めた。

「分かりました。名前と年令を教えてもらえますかか?」

「は? 泰士、お前名乗ってもいないのか? それで結婚って」

「うるさいよ、虎太。これあげる。柏原泰士(かしわばらやすし)、33才。一応この会社の専務をしている」

「あ、ありがとうございます」


私は彼から渡された名刺を見る。名乗ったとおりの名前と会社名、役職などが書かれている。偽名ではないようだ。

33才は予想よりも上の年令だったけど、若いといえば若い。


「じゃ、俺のもあげるね。名前は東郷虎太(とうごうとらた)で年は泰士と同じ。この会社は最初、俺と泰士と三奈子さんで始めたんだ。設立してから5年目になるかな」

「三奈子さん?」

「ああ、さっきお茶を持った来てくれた人で、上田三奈子さんといって、三奈子さんには経理を含めた総務全般をやってもらっている」

「そうなんですね」
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