直感的結婚~恋はこれから~
転ばないように踏ん張ったから大惨事になるという事態は免れたが、立ち上がった私は真っ裸の彼と対面した。

もちろん私も真っ裸だ。彼の裸を真っ正面で見た私は見てはいけない物を見てしまったから顔を隠した。つまり、体はどーんと出ている。

だけど、そんな自分の姿に気付いていない。


「惜しみもなく見せてくれるのはありがたいね」

「えっ? ……キャー!」


彼の視線が顔から下にあるのを見て、今の状態を認識してすぐバスタブに戻ったが、もう遅い。


「見ましたよね?」

「もちろん。美琴だって、俺を見ただろ?」

「それはもちろん見たというか見えてしまったというか」

「まあ、お互い様だね。しっかりあたたまって」


恥ずかしすぎて頭のてっぺんまでお湯の中に隠したい気分だ。

後ろから聞こえるシャワーの音を聞きながら、私はこれからのことを考えていた。お風呂から出たら、どんな格好でベッドまで行くのがよいかと。

バスタオル一枚だけ巻いていくのは恥ずかしい。バスロープを着ていくのも恥ずかしい。
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