直感的結婚~恋はこれから~
「しかしさ、突然結婚って、ビックリしたよ。そんな相手がいたなら、この前帰ってきたときに話したら良かったのに」

「そうなんだけど……」


といっても、その時に話せることは何もなかった。

1か月前のお盆に帰省した。その時は会社が危ないらしいという話をした。母はこっちに帰ってきたらいい言ってくれたが、父は渋い顔をしていた。

東京の大学に進学したいと話したときに父には反対された。それを押しきって東京に出たのだから、帰るつもりはなかったし、父も帰ってこないものと思ったのだろう。

幸哉は自宅から通える大学に行っている。幸哉は親孝行者で私は親不孝者。

勝手に結婚まで決めて、晴れ姿も見せない。最低な娘だな。

幸哉にどう説明しようかと考えていると、ドアがノックされる。


「美琴ちゃん、そろそろ移動するよ。わあ、よく似合ってる! きれいだね」

「ありがとうございます。幸哉、こちらの方は今度働く会社の社長さん」

「えっ? 若い! あ、弟の幸哉と言います。姉がこれからお世話になります。よろしくお願いします」

「しっかりした弟さんだね。東郷虎太です。よろしくね」
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