直感的結婚~恋はこれから~
専務は白いタキシード姿で椅子に腰かけて足を組んでいた。

かっこいい。

初めて会ったときと同じように目が奪われる。

この人の隣に立つ私はきっと不釣り合いだ。今さらだけど、どうしよう……。

中に入り、ドアを閉めたまではいいが、そこから動けずにいる私に専務が近付いてくる。


「美琴、きれいだね。よく似合っている」

「ありがとうございます……」

「緊張してる?」

「はい」


こんなにかっこいい人を前にして緊張しないはずがない。この人と結婚するなんて、本当に信じられない。

冷静を装ってはいるけど、心の中はさっきからキャーキャーとうるさい。

きっちりと整えられた髪型もよく似合っていてモデルみたい。


「わりとシンプルな感じにしたよ。参列者も身内だけだからね」

「すいません、いろいろ考えてもらって。専務もお忙しいでしょうに」

「そんなの気にしなくていいよ。俺たちのスタートだから、雑には出来ないしね。それよりさ、専務じゃなくて名前で呼んでくれない?」

「名前ですか? えっと……泰士さん」
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