直感的結婚~恋はこれから~
どうぞって、本当にキスするの?

泰士さんとの初めてのキスが人前?


「美琴……」


吸い込まれそうなきれいな瞳を見ていると体が動けなくなる。近付いてくる間もずっと目が離せない。泰士さんも同じようにずっと私も見ている。

見てないで閉じよう。

ふわっと柔らかい唇が私の唇に重なった。

「おおっ!」と誰かの声が聞こえ、拍手が沸き上がる。人前でのキスの恥ずかしさに顔が熱くなる。

離れた泰士さんの顔をそっと窺い見ると、彼の頬もほんのり赤くなっていた。きっと彼も恥ずかしいんだ。同じ気持ちであることが嬉しくなり、彼の向かい側から隣へと移動して腕をぎゅっと掴んだ。

スタッフがテーブルを私たちの目の前に置く。そこには婚姻届の紙があった。

社長が小さい声で「どうぞ」とペンを泰士さんに渡す。泰士さんが書いたあとに私も書く。証人欄にはすでに社長と三奈子さんの名前が書かれていた。

泰士さんが紙を広げて、参列者に向ける。


「私たちは結婚しました。これからの未来、二人で歩いていきますのでよろしくお願いします」

「よろしくお願いします」
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