直感的結婚～恋はこれから～
「姉ちゃん、お願いがあるんだけどさ」

「えっ？ あ、うん、なに？」

「今夜泊めてくれないかな？」

「今夜？ このあと帰るんじゃなかったの？」


幸哉は式が終わったら羽田空港から飛行機で帰る予定となっている。


「実はさ、こっちに住んでる友だちに今東京にいると連絡したら明日会おうとなってね。昨日泊まったホテルに聞いたら今夜は満室で空いてないと言われてさ……」


つまり今夜泊まるところがない。最悪ネットカフェとか行けばいいんだろうけど……と幸哉は遠慮がちに言いながらも何とかして欲しいとすがる目で私を見る。

困っているなら何とかしてあげたいと思うけど、私一存で決められることではない。泰士さんにも聞かないと。

泰士さんは社長と話をしていた。そちらに視線を向けると気付いた社長が泰士さんの肩を叩く。


「どうしたの？」

「あの、幸哉が明日までこっちにいたいらしいのですが、泊まるところがないらしくて」

「ああ、そういうこと。いいよ、うちに泊まってもらって。確か一組布団があるはずだから問題はないよ」

「本当ですか！ ありがとうございます！」
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