直感的結婚~恋はこれから~
もしかしてこの人、刑事とか?

私、怪しくないですよ。何もしていません。座っているだけです。


「山川美琴(やまかわみこと)といいます。26才です」

「26か。で、何でそんなに顔色が悪いの?」

「顔色?」


他人に言われるほど悪い色をしているのかな。そういえば、昨日の夜から何も食べていない。私はいつからここに座っていた?

ふと空を見上げると太陽はほぼ真上にある。もう昼過ぎなのかな。ここに座って何時間経ったのだろう。


「その年令なら社会人だよね? 今日は仕事休み?」

「仕事……」


平日の昼間にこんなところに座っているのには理由がある。仕事がなくなったからだ、


「仕事見つけなくちゃ。この辺にハローワークあるかな」

「仕事なくなったの? どうして?」

「どうしてって……働いていた会社が倒産してしまって」


苦労して就職して、がんばること4年。それがあっさりと倒産で無職になった。しかも、会社の寮に入っていたからそこも今月中には出なければならない。

職をなくしただけでなく、住むところもなくした。こんな状況で何をしたらいいのか分からなく、途方に暮れていたのだ。
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