直感的結婚～恋はこれから～
ビルの地下の駐車場に車を止めて、泰士さんの後を追って歩く。気にしてくれているのか私の様子を振り返って何度か見てきた。その度に私は締まりのない笑顔を見せていた。

社内をそっと覗いてから足を踏み入れる。初出勤はやっぱり緊張する。


「おはようございます」

「おお、美琴ちゃん、おはよう！ 二人とも改めておめでとう！」


中に入ると社長をはじめ社員全員が揃っていて、拍手で私たちを出迎えてくれた。恥ずかしくなって並ぶ泰士さんを見ると、彼は和やかな空気の中で一人険しい表情をしていた。


「拍手で出迎えとかいらないから。それよりもやることはやっているのか？ 林、金曜日に連絡が取れなかったと言っていたけど、その後どうした？」

「先ほどやっと連絡が取れましてこちらの提案を伝えました」


呼ばれた男性が姿勢を正して答える。

仕事モードの泰士さんは本当に厳しいようだ。私も引き締めてしっかり仕事をしよう。

でも、まず何をしたらいいのか、どこに行ったらいいのか分からない。どうしたらいいのかな。
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