直感的結婚~恋はこれから~
会社のことだけでなく、住むところをなくして、実家が遠いという事情まで私はなぜか会ったばかりの人に話していた。


「これからどうしたらいいのか……何をしたらいいのか……分からなくて……」


どんどん声は小さくなっていく。体も小さくなっていく。このままどこかに消えた方がいいのかも。


「行くところがないなら、うちにおいでよ」

「うちって、あなたの家?」

「そう。俺と結婚しよう。そうしたら、住むところは出来るし、仕事も無理にしなくてもいい。どう?」


どう?って、この人は何を言っているのだろう。

結婚しようとか言ったよね?

本気?


「いきなり結婚って、変ですよ」

「君だと感じた。だから、結婚しよう」


まだ出逢って15分くらい。それで結婚を決めるとは怪しすぎる。この人、かっこいいけど、危険だ。

逃げよう。すぐ逃げるんだ。

ずりずりとお尻を動かし、彼から徐々に離れる。ここで、一気に立ち上がり、駆け出せば……


「えっ? あの……」

「逃げるなよ」

「だって」

「いいから、結婚するよ」
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