直感的結婚~恋はこれから~
「私も同じですよ。ほら……あ、すみません! やだ、何しちゃったんだろう。もう、恥ずかしい」

「いや、意外にも大胆でさらにドキドキするんだけど」

私の心臓の音も確かめてもらおうと彼の手を取って、自分の胸に持っていった。

泰士さんに心臓の音よりも胸の柔らかさを確認させてしまったようだ。

深く考えずに動いてしまった自分の手が恥ずかしくなり、胸元で両手を強く握り締めた。

彼は彼で触れた手を口元に持っていって、頬を赤くしていた。私よりも泰士さんの方が意外すぎる。

絶対にモテると思われる彼は女性の扱いも慣れていて、恥ずかしがるとかしない人だと思っていた。

なのに、ドキドキするとか顔を赤くするとか意外すぎることばかりで、私の胸はキュッと締め付けられる。かっこいい彼の照れる様子はかなりの胸きゅんポイントだ。

こんな一面まで見せられると困る。泰士さんと同じように私も愛しく思えてしまう。

どうしよう。

嬉しくて口元が緩んでしまう。こんなだらしない顔を見られたくない。

外の方に顔を向けると、いつの間にか地上まであと少しになっていた。
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