直感的結婚~恋はこれから~
ドレスとまではいかないけど、華やかに見えるワンピースを泰士さんが選んでくれた。初秋らしいボルドー色のワンピースはシンプルなデザインだけど、シルエットがきれいで自分でも気に入っている。

これならかっこいい泰士さんの隣に立っても恥ずかしくならないとも思った。まだまだ釣り合いは取れないかもしれないけど。


「柏原さん、いらっしゃいませ。本日はゲストでご参加と伺っております。会場は……」

「大丈夫。会場は分かっていますので。美琴、行くよ」


昨日遊園地で見た顔とは別人で今日の泰士さんはクールだ。違う、いつもの泰士さんがクールで昨日の泰士さんが別人だった。

彼の所作はいつもスマートだ。今もさりげなく私の腰に手を当てて、リードして進む。

完璧な動きをする泰士さんはかっこいいとは思うけど、昨日のように照れたり喜んだりする泰士さんは人間味のある感じがした。


「ん? どうした?」

「いえ、あの……」

「専務、お疲れさまです!」


隣を歩く泰士さんに話し掛けようとしたけれど、タイミング悪く今回担当をしている森さんが会場出入り口にいた私たちに気付いた。
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