直感的結婚~恋はこれから~
「そんな困った顔されてしまうと俺まで困るな。無理強いはしたくないからその気になったら、美琴から言ってね」

「私から言う? 何を?」


いったい何を言えと言うの?

泰士さんが言うことがすんなり頭に入ってこなくて、私は目をしばたたかせた。


「とぼけてる? その気になったらじゃ分からないっていうの?」


泰士さんは苦笑しながら逆に聞く。とぼけてはいない。真面目に聞いているのにひどい。

でも、その気になるとは……その気、その気?


「その気になったらって……えっ、ええっ! いや、その気になんてなっても言いませんから。言えないですよ、そんなこと」

「そんなことって、どんなこと?」

「えっ! それは、その、えっと、あーもう! 泰士さんの意地悪……」


その気がやっと分かった私はあわてふためく。だって、それは私がしたくなったら言えということでしょ?

自分から誘う台詞は絶対に言えない。私には無理、無理、無理。無理難題だ。

激しく動揺する私に泰士さんは吹き出した。そして、軽く睨む私の頭を撫でる。
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