おやすみ、おはよう。
「俺そこのソファで寝るからさ、芽衣はベッド使って寝ろよ。」

「え?いいの?」

もう夜遅いということで、今日は寝ることにした。目が覚めた時はまだ太陽が出ていたのに気づいたらもう夜の11時を過ぎていた。

しかし寝るといっても着替えなんて持っていないので、隼也の服を借りることになってしまった。

「服まで借りちゃってごめんね。」

「おう、ブカブカだけどしょうがねえな。」

確かにTシャツを着ているはずなのに7分丈になってるし、下のジャージはズルズル引きずって歌舞伎役者みたいだ。隼也との身長差を実感する。

「身長高いんだね。」

「185くらいあるかな。」

「私より30センチくらい高い…」

「じゃぁ芽衣の事チビって呼ぶわ」

「ちょ!やめてよ!」

何気ないやりとりに今までの緊張が緩んで笑みが溢れた。なんだか久々に笑った気がする。

「まぁ、今日は疲れてるだろうしもう寝ろよ。明日この村を案内してやる。」

そういって隼也は私の頭に手を乗せた。
あったかい。なぜだか不意に涙がこみ上げてきた。

「…うん、おやすみ」

泣いていることがバレないように、急いで布団に入った。

「電気消すぞ。」

カチッという音と共に部屋が暗くなる。
相変わらず海はぼんやりと明るかった。

そういえば…

「ねぇ、隼也、私が気づいたら知らないところにいたって言ったとき、怪しく思わなかったの?」

ずっと疑問に思っていた。普通はそんなこと起こるわけないし、私が隼也の立場だったら絶対信じないし怪しいと思う。でも隼也は私を家に連れてきてくれた。

「まぁ、そういうこともあるんじゃね?」

「…そっか。」

やっぱり、不思議な人。



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