キミを奪いたい
「────の、……やの」
「………」
「あやの……!」
「……っ、……お兄ちゃ……?」
「……大丈夫か?うなされてたぞ」
「うなされ……?」
……あぁ、そうだ。私、体調崩して寝込んでたんだ。
────リョウと逢った日から早三日。
私はあの日の翌日から体調を崩して学校を休んでいる。
風邪を引いたわけじゃない。
熱だってないし、咳き込んでもいない。
けど、全身がだるくて、頭がボーッとしてる。
なにが原因かなんて、分かってる。
目をつむると、脳裏に浮かぶのはあの時のリョウの後ろ姿。
女の子の腕を掴んで一度も振り返ることなく歩いていくリョウと、嬉しそうに笑みを浮かべながら連れて行かれる女の子の横顔。
それが脳裏に焼きついて離れてくれない。