キミを奪いたい
「あー、でもさ、入ってくれるのは嬉しいんだけど、今ウチちょっとゴタゴタしててさ」
「そういえばさっき怜乃さんが余裕とか何とか言ってたね」
「そうそう。最近新しいチームが出てきてさ」
瑠衣のその言葉にドキッと心臓が不穏な音を立てる。
それと同時に自然と視線が下がっていき、膝の上に置いてある自身の拳をキュッと強く握りしめた。
「そのチームが喧嘩売ってきてるの?」
「んー、ウチにっていうより、ここら一帯に喧嘩売りにきてる」
「うわ、元気だね」
陽気に笑い合う二人に反して、私の心は複雑な気持ちでいっぱいで。
リョウとは別れたはずなのに、なんでこんなにも後ろめたいんだろう……。
やっぱり、付き合ってたっていう過去を隠してるからかな……。