キミを奪いたい
「侑真、どう思う?」
「ハッキリした情報が出ないことには分かんないな」
「だよなー。あ、あれじゃね?雷神の姫がZeusのトップに乗り換えたんじゃね?」
瑠衣は面白そうにケラケラと笑ってるけど、私は全然笑えない。
だって、瑠衣の冗談が冗談じゃないかもしれないから。
敵チームの総長に乗り換えるなんて、普通ならありえない。
けど、それは絶対じゃない。
だって、リョウだもん。
私だって初対面で魅せられた。
一目惚れなんてしたことなかったのに、リョウに惹かれてしまった。
だから、雷神の姫がリョウに惹かれても全然おかしくない。
だから、余計に苦しくなる。
瑠衣の冗談が本当にならないで欲しいって、そう心の中で願っている。
───私はもう、リョウと別れているのに。