キミを奪いたい



「あら、リョウのお友達なの?」



微笑みながら振り返った女性につられて同じように振り返れば、そこには本当にリョウがいた。


信じられなくて何度も瞬きを繰り返して見たけど、それでもリョウに間違いなくて。



「っ」


思わず息を呑みながら一歩後退した。


だって、こんな所で会えるなんて思ってもいなかったから。


ううん。それよりも。


リョウの顔を見た瞬間つい先日のことや雷神の姫のことが脳裏に浮かんで、自然と足がリョウから距離を取ってしまった。





「支えてくれてありがとう。もう大丈夫」

「っ、あ、すみません……!」



あまりの衝撃に、女性を支えたままなのを忘れていた。


申し訳なさそうに微笑んでくれている女性から慌てて手を離して、少し距離を取る。

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