キミを奪いたい
早く立ち去らなきゃ。
そう思って一言声をかけようと顔を上げれば、
「リョウのお友達?」
「っ」
返答しづらいことを聞かれて、思いきり言葉を詰まらせてしまう。
だって私は、リョウの友達なんかじゃないから。
少し前までは“彼女”という特別な関係だったけど、今は“友達”よりも遠い関係。
親しさなんて皆無の────遠い関係。
ううん。関係すらないかもしれない。
「────友達じゃねーよ。ただ知ってるだけ」
「……そうなの」
息が止まりそうになった。
“ただ知ってるだけ”
その言葉がこんなにも深く突き刺さるなんて。